空を見上げて

作者と訳者に乾杯vv〜ハリー・ポッターと死の秘宝〜

やっと今朝読み終わりました。ハリーポッターと死の秘宝。
堂々の完結でした。すばらしい物語を10年近くリアルタイムで追いつづけられた幸運で胸がいっぱいです。
あれこれ予想していましたが、だいたい思ったとおりの流れで、セブルス・スネイプについては、やはりそのとおりでした。
予想外だったのは、もっとハリーのドラマチックな哀悼が見られるかなと思ったことでしょうか。
また、ダンブルドア復活はないだろうが、肖像画でコンタクトが取れるのでは?と思ってましたが、、、果たして、思ったより肖像画はハリーとは接触してなかったですが、スネイプとは作戦練ってたようです。
分霊箱やヴォルデモートを消滅させた杖のくだりはまだまだ理解が甘いので、もう一度ゆっくり読み直そうっと。
1号は先に読み終わってますが、2号は私の次なので、本は今2号の手元にあります。
2号が読んだその後、感想をアップしたいと思います。

ふと昔の感想を読んでみたくなって、今読むと、なかなか感慨深いものがあります。
不死鳥の騎士団
混血のプリンス

気のせいか、今作「死の秘宝」の訳者松岡祐子さんのあとがきと共通する表現があってにんまり。(←気のせい、気のせい)
それにしても訳がすばらしかったから、言語を超えて、すんなり異国のファンタジーを受け入れられたんだなあと改めて思います。まどろこっしい情景描写も、テンポよく自然な表現になっているので、情景を臨場感たっぷりに思い浮かべることができました。すばらしい物語を贈ってくれて、ありがとうv
作者と訳者に感謝をこめて、乾杯vv


以下、2006.12.6のブログのある方へのレスです。
私はネタバレ見ないし、他の人の感想もそんなに読まないですし、また海外でも完結編が出版される前でしたから、、結構自分の読みがあたってたので、うれしかったり、、、。

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スネイプはかつて、ハリーの母であるリリィを愛していたのではないかと考えられます。

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テーマ: ハリー・ポッター -  ジャンル: 本・雑誌
by ふざけおに  at 17:19 |  ハリーポッター |  comment (13)  |  trackback (0)  |  page top ↑

ハリー・ポッターと死の秘宝

自分はウェブ上のネタバレ絶対読むまいと思いつつ、1年間翻訳を待ち続ける気にもならず、イギリス版ハリーポッター完結編を手に入れました。
買った直後こともあろうに最終章から読み始めた1号。ばかたれー!
ついつい内容を聞いてしまう私の意志の弱さにしくしく。

その後は、1号と2号で、冒頭からちゃんと二人で電子辞書を使って、地道に訳してます。






私が聞いたネタバレを一言で喩えると、、、、
(わかる人にしかわからないネタバレ注意!)

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テーマ: ハリー・ポッター -  ジャンル: 小説・文学
by ふざけおに  at 21:29 |  ハリーポッター |  comment (2)  |  trackback (1)  |  page top ↑

映画「ハリーポッターと不死鳥の騎士団」先行上映感想

ハリーポッターと不死鳥の騎士団、先週末に先行上映見てきました。
個人的にシリーズの中では一番読み応えを感じて好きな部分なので、あまり期待すると映画は失望するだろうなと、ここ一年原作をいっさい読まずに中身忘れて頭を真っ白にして見たつもりなのですが、、、、
やっぱりこの濃密なストーリーを2時間半の映画にするのは難しいだろうなという予想通り、★★☆程度の印象です。
映像はともかく、ストーリーの要所を流してる感じが全体的に平板な印象になり、「炎のゴブレット」のラストと比較しても切なさが薄く、ハリーの愛する人との死別の激しい苦悩と、静かにその受容に向かう心の動きに焦点が当たってないのが惜しいところでした。物語が暗いのはこれは仕方がないにしても、もっとメリハリがないとカタルシスを得られないです。
それとテーマの捉え方に映画監督の独自の解釈が入り過ぎて、最終章を意識してなのか(まだ私は内容を知りませんが)この作品単体で見るとややフライイング気味か、ズレていると感じました。
「炎のゴブレット」もそうですが、原作最後数ページに渡るダンブルドアのそれまでの出来事の検証と訴えたいテーマの提示という方法を映画でやったら、説明台詞が長すぎて、映像的にはよろしくないのでしょうが、にしても前作にもましてちょっとニュアンスが違う解釈に向いてしまったように感じました。
死を恐れ不死に拘るトム・リドルと、愛する者を失った激しい苦悩から死の恐怖を忘れてしまったハリーとの違いや、自然の摂理として死を受容できるダンブルドアの違いを明確にはしてなかったように思います。
前作も命を犠牲にしても守りたいというハリーの母の愛は、生涯死を持ってして守るべき対象を知り得なかったトム・リドルの理解を超えるものだったというあたりが曖昧になったまま、友情とか団結とか周囲の人との心のつながりを強調して次回作へとつなげてましたが、今回の展開でも、なぜヴォルデモートが魂の分霊箱を配置することに執心したのかという核心に迫る部分が、次回伏線なしに出てしまうことになるので唐突になる気がしますが、、、。心配しすぎでしょうか。
また映画という華やかさを追求する宿命上、ハリー、ロン、ハーマイオニーにスポットが当たるため、本作を盛り上げるべく変人ルーナの悲哀やネビルとハリーの因縁、予言の持つ意味(予言を信じたヴォルデモートの選択に対してハリーはどういう選択をするのか)、ダドリーを救ったハリー同様ペチュニアにもハリーや彼女の姉であるハリーの母に対して憎しみの中にも肉親の情があるとか、スネイプのジュームズやシリウスに対する癒しがたいトラウマと同時に、リリーに抱いていたシンパシィとか、それぞれの心の機微をここで見せないで、今後どう続けるのかと、多少先行き心配ですが、まあ先のことは考えないにしても、映画単体としても出来は今ひとつの印象です。(チョウの扱いはあれでいいのかとか・・・あれじゃあハリーがチョウの裏切りを許せずに冷淡にふったみたいじゃん;)
もう1回吹き替え版を見てまた気づいた点アップしますが、1号がどうせなら原作みたいに映画も前編、後編に分ければよかったのにね、と言っていたのが端的な感想を表してますね。

「混血のプリンス」は作品のボリュームはともかく、ダンブルドアの回想やここまでの物語のまとめとしての説明が非常に長いので、さて、どうあれを映像化するのかそれはそれで逆に楽しみだったりします。

なお、「不死鳥の騎士団」書籍の感想はここに、混血のプリンスはここアップしてます。

さて、最終巻がいよいよ欧米では発売になるようですが、、、

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by ふざけおに  at 03:58 |  ハリーポッター |  comment (0)  |  trackback (3)  |  page top ↑

「ハリーポッターと謎のプリンス」感想 

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1号が1日半で読み終えた後、私は3日かかってざっと一読終えました。その後、即本はS君ママに持って行きました。すぐ彼女と彼女の娘さんの感想を聞きたかったからです。
なので、本が手元にない中での初発の感想です。
ちなみに前作、ハリーポッターと不死鳥騎士団の感想はこちらに置いてます。

※全体の印象(ネタバレなし)
前作「不死鳥の騎士団」を読み終えるのに1ヶ月かかりましたがが、今作は即読み終えました。前作は終盤まではあっちこっち寄り道とミスリード、ハリーの苛立ちとシンクロして鬱積した気分になって読み進めにくかったのですが、、終盤になって怒濤の展開で一気に悲劇と種明かし、感動とそれまでたまりにたまった分の感情を排泄するカタルシス、そして静かな余韻で終わるという、ジェットコースターに喩えるといらいらするほど登りが長い分、頂点から下るスピードと迫力はすごかったと思います。言い換えれば、「起承転結」の起起・・・・承承承・・・・・転結。物語の王道を行く構成であったと思います。
今作はその点、随所に小さな山場を作って適度に少しずつカタルシスを得られる展開だったので、気分的に楽に読み進められ、陰鬱さをずるずる長くひきずることはなかったです。要所要所にハリーのささやかな幸福を感じることができます。今までに比べダンブルドアと親しく語り合う場面が多いからかもしれません。なので、頂点は低いがたくさん坂のあるジェットコースターという感じで、最後は急激にそれまでにない最も高い悲劇に登り詰め、下ることなく終わるという、、、暗転で結びらしい結びがないまま幕が降りました。
それはシリーズ全体の結末直前であるからです。
また、ダンブルドアを通して、ヴォルデモートの過去と今まで起きた事件の関連を説明、補完、整理する巻でもあり、非常に興味深く読めます。
なので、作品単体の読みやすさと好奇心の満足度では断然今作(プリンス)、感動とカタルシスの大きさでは前作(騎士団)という印象です。
あとサプライズという点で、だいたい作者の展開パターンが読めているし、ここまでの伏線から予想してたせいか、未だ不透明な部分があったり細かいところで読み違いはあったにせよ、大同小異、ほぼ予想通りの方向に向かっているので、そういう意味で衝撃は薄かったですね。(むしさんと語り合った方向通りというか)
なので、物語単体での読後の衝撃は、個人的には「不死鳥の騎士団」の方が大きく、ずいぶん泣けました。
今作は泣けはしなかったですし、意外性は薄いですが、ここまでそれぞれの人物のポリシーを描いてきたその延長上に今作があり、なおかつ熱く丁寧にそれぞれの思いを訴えかけてくる文章と、ラストに至る緻密な構成力に、ただただ圧倒されます。
おそらく予定は調和するのでしょうが、そこに至るまで、いかに巧妙に読者にゆさぶりをかけるか、この作品世界のスケールの大きさを感じさせる今作でした。

世界一活字読まない日本の子供達に、これだけ長く分厚い物語を読ませ、イギリスファンタジーの奥深さを知らしめたこの作品、いよいよ次巻で終わるのだと思うと感慨深いです。
「ハリーポッター」を読んで物語のすばらしさを知った子供達が、将来我が国にも、ローリング女史のような児童文学を残してくれることを切に願います。

また訳者である松岡佑子さんにも、不遜ながら、今回初めて、本当に心から深い敬意を感じた次第です。
「英語でしゃべらナイト」で、うろ覚えですが、確か、一番翻訳で大事なのは「母国語の美しさ」を知ることだと語った松岡さんを、偉大な日本人だと感じました。ハリーポッターを我が国に紹介してくれて、本当にありがとうと言いたいです。

さて、ここからは、ネタバレ感想です。ネタバレがいやな人はここまでにして、読み終えてからまたおいで下さると幸いです。

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by ふざけおに  at 15:38 |  ハリーポッター |  comment (15)  |  trackback (4)  |  page top ↑

小説「ハリーポッターと不死鳥の騎士団」

感想パート1

25日土曜日夜明け、やっと読み終わりました。1日で読み終わって繰り返し繰り返し読んでる1号から、内容はあらかた聞いていたのですが、前半の展開の進みの鈍さや(描写が細かい)ブレイド映画公開がたたって、さっぱり読み進まず、今までで一番時間がかかってしまいました。
しかしネタバレ聞いていたにも関わらず、最後200ページの圧巻ぶりはすごかったです。読み終えた後しばらく放心してしまいました。久々に重厚な文学作品にふれた衝撃でした。

前日の金曜日、むしさんに上巻読みかけの「不死鳥の騎士団」について私はこんなメールをしました。

「 様々な悲しい別れや過ちを積み重ねて人は大人になるんです。
無邪気さを喪失し、暗くなりますが、その分、命の尊さを知るんです。
早く読みたいです。」

むしさんから頂いたお返事は
「絶対おにさんの好みだと思いますよ(うふふ)」というものでした。

まさしく本当にそうでしたーー!むしさん鋭い!
日頃私が思い描いている人生の深淵を的確に物語で提示されたような錯覚に陥るほど、ぴたりとはまった作品でした。
描かれているテーマは、スバリ「スターウォーズ」と同じだと見ました。しかし娯楽作品であるSWより、当然のことながら、文学性が高く、ストーリーと人物が多様に交錯していて心情描写が緻密です。
坪内逍遙が「小説神髄」で、「小説とは人の心の陰影を描き出したもの」と定義したのを脳裏に思い浮かべながら、この作品に出会えた感動に満たされました。
前作まで読んだ限り、ここには何かしら意味があるだろうというポイントについて見事に描かれていて、予想が的中した喜びと、予想以上に人物の内面に迫ったカタルシスに包まれました。
ファンタジーと言われる児童文学がこうまで人の心の本質に迫っている、、、
こういうのを、大人の鑑賞に堪えられる児童向け作品というんですよ〜。
そもそも不朽の名作は、難解高尚な一部の文学マニアにしか親しまれないものではないんですよ。平易な表現で、老若男女広く共感を呼ぶ内容で、人間の本質を描けるものなはずなのです。
よくぞ我が娘はこの物語を私に導いてくれたと感謝(息子がデジモンに巡り合わせてくれた時も感じましたが)。
土曜の朝、目覚めたばかりの1号に本の感想やら娘をゆさぶる質問やら、その解釈を語り始めたら、興奮でいつの間にか涙してる自分に笑えましたよ。
歴史的な文学作品にリアルタイムで出会えた喜び、良質な読み物が全世界の人々の心を打つ様を思う喜び、、、今作読んではっきり言えます。大好きです、ハリーポッター。

以下ネタバレありです。未読の方ご注意下さい。****************

今回の話のポイントです。
ハリーはヴォルデモートと意志を共有できるため、それまでヴォルデモートに狙われた人を救ってきました。それが今回が裏目に出ます。
名付け親で父の親友であった、シリウスブラックがヴォルデモートに拉致され、拷問されている夢を見たハリーは、ハーマイオニーが止めるのも聞かず、救出に向かいます。ハーマイオニー達仲間も今回はハリーに同行したのですが、実はそれはヴォルデモートの巧妙な罠だったのです。
ハリーが生まれる前、ハリーとヴォルデモートに関する予言がなされ、その内容が刻まれた石が、魔法省の神秘部に保管されていました。それに触れられるのは予言内容の当事者であるハリーかヴォルデモートだけなのです。復活を世間に知られたくないヴォルデモートは、ハリーと意志を共有できることを利用し、ハリーにその石を手に取らせ奪おうと考えていたのでした。予言を正確に聞くことで、今まで何度も殺し損なったハリーの殺害方法のヒントを得るのが目的でした。
ハリー達はヴォルデモートの配下の闇の魔法使い達に攻撃され、次々倒されます。残るはハリーと闇払いの息子ネビルだけになります。そのネビルも拷問呪文をかけられ、ハリーは石を敵に渡そうとしたその瞬間、ダンブルドアの騎士団、闇払いの魔法使いの大人達が助けに駆けつけました。その中にシリウスもいたのです。
今のシリウスにとって人生の全てと言えるハリーを助けに来たのですが、その戦いで命を落としました。ハリーにとっては、最愛の家族と呼べるたった一人の人を目の前で失ったのです。それも自分のミスで。
ヴォルデモートは戦いの中予言の石が壊れてしまったことを怒り、ハリーを殺そうとついにそこに姿を現します。
間一髪でダンブルドアがハリーを守ります。圧倒的強さを見せるダンブルドアにヴォルデモートは敗れ、退散しかけますが、一瞬の隙に額の傷からハリーに取り憑き、ダンブルドアに「もろとも殺せ」と唆します。ひるむダンブルドア。
その時ハリーはシリウスへの強い思いや罪悪感から、「死」を望みます。途端、ヴォルデモートはハリーの体から去っていったのでした。
悄然とするハリーをダンブルドアは校長室に連れて行きます。
激しく慟哭し心の痛みに荒れ狂うハリーに、ダンブルドアは「シリウスが死んだのはわしのせいだ」と語り始めます。
今まで、ハリーの話すのをためらっていた真実を。それはハリーとヴォルデモートの間になされた予言、「ハリーかヴォルデモートどちらかが相手を殺す宿命」という予言でした。
誰かを殺すか殺されるかという宿命に敷かれた未来だと、幼いハリーに無邪気に子供らしく生きて欲しいダンブルドアは告知できなかったのです。
長い間、ダーズリー家に閉じこめられた恨みをも激しくはき出すハリー。ダンブルドアはハリーの心の痛みにうちひしがれながら、ヴォルデモートからハリーを守るもの(ヴォルデモートの弱点)の本質を語って聞かせるのでした。。
賢者ダンブルドアは、真実を隠した自分の判断の誤りを悔い、ハリーへの深い愛ゆえに犯した過ちだと涙ながらに苦しい胸のうちを明かします。
シリウスを喪失したハリーは、しばらくその姿を求め無為な日々を過ごします。やがてシリウスの死を受容した時、ハリーは自分と世界が隔絶してしまったと感じます。
けれど空虚な隔絶した世界にいてこそ、見える人の思いがあることにハリーは気づきます。
ホグワーツからダーズリー家に帰る道すがら、ルーピンやウィズリー夫妻らが見送りに来ました。ハリーはシリウス亡き今も、改めて自分を愛してくれる大人達の存在を温かく感じるのでした。。。。

ううう、なんかこの感じって、井上靖の「しろばんば」の読後感を想起しました;;



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2004年09月27日

小説「ハリーポッターと不死鳥の騎士団」感想パート2 ネタバレ注意!

魔法省の神秘部の沢山の扉の中で、どうしても明かない(つまり解き明かせない)謎の部屋があります。ハリーが持っているどんな鍵でも開く魔法のナイフでさえ開けられなかった部屋には、ライラの冒険シリーズ「神秘の短剣」でこの世で唯一切れないものと同じものがしまわれているのです。
今作ダンブルドアはその言葉を一度も口にしませんでしたが、それは「愛」です。

※愛ゆえの過ち、
今作ハリーは、危機にある人を助けに向かってしまう英雄気質をヴォルデモートに利用されます。それまで実際に何人も救っている経験から、「決して動いてはいけない」という大人の指示や「罠かもしれない」というハーマイオニーらの忠告に耳を貸しません。ハリーにとってたった一人の肉親と呼べるシリウスですから、それはそれは熱くなって救出に向かいます。
ところがそれがヴォルデモートの罠で、逆にハリーと仲間達の方が生命の危機に陥ります。
ハリー以上に無鉄砲な英雄気質を持つシリウスは、自分の身の危険も省みず、亡き親友の子である最愛のハリーの救出に駆けつけます。そして、そこで命を落とします。
ハリーはシリウスを救おうとして、シリウスを死に追いやってしまう結果になったのです。
愛ゆえに慎重さ欠き、若さゆえの無謀さで、致命的ミスを犯してしまった・・・
激しい自責の念と喪失感に狂わんばかりに苦しむハリーに、ダンブルドアは同じ苦悩を切々と口にします。

ダンブルドアもまた愛の盲目ゆえに過ちを犯したと告白するのでした。
ハリーにヴォルデモートが狙っている予言のことを話しておけば、神秘部にヴォルデモートが狙う物の正体をハリーが事前に知っていれば、ハリーは罠にかからなかった、、、、
ハリーとヴォルデモートの宿縁の真相をあらかじめ伝えておけば、こんな事態は起きなかったたと、、、
けれど、ダンブルドアは、普通の子のようにハリーに無邪気な少年時代を送らせたいという思いに駆られ、悲しい現実を教えることを先延ばしにして来たのでした。
仮にハリーに真実を伝えないことが、その他の犠牲や危険を招くことになるとしても、それでも言えなかったのは、ダンブルドアがハリーをあまりに深く愛していたからなのです。
ダンブルドアがハリーにずっと冷たい態度を取り続けたのも、ヴォルデモートにハリーを通してダンブルドアの弱点(ハリーへの深すぎる愛)を見抜かれないためだったのです。

その愛ゆえのもろさにつけ込まれ、闇に攪乱されますが、その愛がまたしても(6回目?)ヴォルデモートの魔の手を退けたのでした。
勇者ダンブルドアが、一人の愚かな老人として心情吐露する様は、隠された真相の衝撃と共に深く読む者の心に突き刺さって来ます。

※愛の勝利
孤独なトムリドル(ヴォルデモート卿)は、「愛」を理解できません。
ダンブルドアが最も恐れた事態は、ハリーの肉体にヴォルデモートが逃げ込むことでした。そして、その最悪の事態が起きてしまいます。
殺しの呪文を使わないダンブルドアを理解できないヴォルデモートに、「トム、お前は死よりも恐ろしいものがあるとわからないのがお前の弱点だ」とダンブルドアは言い放ちます。
ヴォルデモートは「死が怖い物でないなら、この子と共に俺を殺せ!」とハリーの肉体の中から、ダンブルドアに迫ります。ダンブルドアに最愛のハリーを攻撃できるはずがありません。それがダンブルドアの弱点です。
ところが、ハリーはシリウスを思うあまり、「死にたい、殺してくれ」と願います。ハリーはシリウスの愛ゆえに、死の恐怖を全く感じてないのです。
死の恐怖を越える人の愛を、ヴォルデモートは理解をできないのでハリーの心と一体で居ることができず、ヴォルデモートは退散しました。
実はこれが、赤ん坊のハリーがヴォルデモートを倒した魔法なのでした。
それはハリーの母親が、「自分の命に変えても、我が子を救いたい」という死の恐怖を越えた愛、最も原始的な、けれどヴォルデモートには決して破ることのできない魔法なのです。

時に愛は人の判断力を狂わせ、過ちを犯させます。
けれど、愛はそれを知らない闇にある人には全く読めないイレギュラー要素で、最後の逆転の切り札になります。(というとブレイドみたいだなあ(^^;
これはスターウォーズEP6と同じです。。
全て計算づくで未来を予測した皇帝も、恐らくヨーダも肉親の愛を知らないオビワンすらも、予想できなかったこと。
それはアナキン(ベイダー卿)とルークの間に親子の情愛が流れていたことだったのです。
狡猾なパルパティーンがアナキンに残る父性愛が未来を変えるランダム因子だと予測できないのと、ヴォルデモートが、戦略上有利になるほずの予言の内容を、ハリーに教えないダンブルドアの心情を読めないのと同じと思われました。

※愛と憎しみの果て
○ダーズリー家の謎
これはまさに予想通りでした!絶対、ダーズリー家にいることに意味があるだろうと、ヴォルデモートから守るためには、マグルの家にいる方が安全という理由はそれだろうと思ってました!
ハリーを引き取らないという選択をダーズリー夫妻はできたはずです。養子に出しても施設に預けても良かったんです。それでも虐待しながらハリーを養育したのは。。。
ペニチュア叔母さんは、姉に劣等感を抱き激しく憎み否定しながらも、心のどこかで愛していたのです。同じ両親から生まれ育った同胞ですから、複雑なんですよ。。
だから、その姉の子ハリーを憎みながらも養育してしまうんです;;(この辺は実はリアルな愛憎の関係、虐待の心理をついてるなって思いましたね。)
ダンブルドアは、叔母の愛に賭けたのでした。母親の血を継ぐ叔母の元、たとえ憎しみの割合が多く愛は僅かであっても、養育するという形でハリーを受容している限り、ヴォルデモートは肉親の情という魔法を破ることができないのです。
ハリーは形はどうあれ、叔母の家族でいることで生命が守られて来たのでした。

○シリウスとクリーチャー
最悪の家庭環境に育ったシリウスにとって、その家のクリーチャーも忌まわしい生き物でした。
彼はクリーチャーの存在を無視し、心ある生き物だと思いません。それはシリウスの受けた心の傷が深いゆえです。
ブラック家の僕であるクリーチャーは、最後の生き残りであるシリウスに仕えなればならないのですが、その存在を全くシリウスに認められず不遇な扱いを受け続けました。
結局シリウスの暗い過去がクリーチャーを冷遇させ、それがまたシリウスの命取りになったのでした。憎悪の連鎖です。
この二人の関係で、実は暴力よりもネグレクトが心ある生き物にとって残酷だという一面も作中、語られました。
また人間と人外生物、、、。「ガリバー旅行記」の崇高な馬とヤフーの関係を連想させるケンタウルス族らを始めとする人間の人外生物への無理解と傲慢さを、ダンブルドアがどう啓発し、再度友好的関係を築いていくのか、今後描かれるポイントの一つだと思います。

○スネイプとジェームズ
スネイプもまたハリーに対し愛憎の葛藤を抱いています。ハリーの父にいじめをうけ辱められた記憶、ジェイムズへの憎しみを乗り越えることがスネイプにはどうしてもできないのです。
ダンブルドアはそのスネイプの心の傷を読めず、師弟愛や教師としての義務感で乗り越えてくれると思いこんでいたようです。
スネイプもシリウス同様かわいそうな人なのです。
スネイプはダンブルドアを介し、その闇に近い気質でスリザリンの子供達と親和性が高いので、防波堤の役割を担っていると思われます。
今後、スネイプの役割は大きくなっていくでしょうね。
というのは、もうずっと感じているこの作品最大の疑問です。今後必ず語られるであろうこと。
それは「スリザリンの存在意義」です。ロンの前作での「何故闇の魔法使いの温床になっているスリザリン寮を無くさないのだ?」という問いに、答えは用意されてるものと思われます。
トレローニー先生にも存在意義があるんだから、絶対意味があるんでしょう(笑)

○ハリーとドラコ
父親が闇の魔法使いとばれてしまったドラコ達の今後が心配です。
スリザリンという偏った価値観を持つグループとどう理解しあっていくのか、今後最も気になる部分です。恐らくこの話の流れでは、闇を撃退して終わりにならないでしょう。
ハリーにとって、スネイプと父の関係のように、ドラコへの憎しみは消えないでしょうが、それでも排除の論理をとらずに共存して行く道を切りひらくことが、ゴールのような気がしてならないですね。
それはダンブルドアとトムリドルの関係もそうかもしれないです。。
なんとなくですが、あえて混血のハリーを宿命の敵に選んだ哀れなトムリドルは、真の「愛」を知らない限り、何度殺されてもその怨念で蘇ると思います。
今後、闇との調和が描かれるものと思ってます、、、



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2004年09月27日

小説「ハリーポッターと不死鳥の騎士団」感想パート3 ネタバレ注意!

〜喪失と成熟〜

※隔絶された世界
今作私が最も感動した部分は、前述のダンブルドア老人の愛にもまして、ハリーがシリウスの死を受容する様でした。
前作で友人の死を経験していますが、今回はハリーの最大の心の支えだったシリウスがハリーを救うために死んでしまうという悲劇でしたから、その死に方もシビアです。
慟哭、悲嘆、悔恨、怒り、絶望、空虚、、、、、ハリーは激しくのたうつ痛みを胸に、けれど言葉にできないまま、、、いつしか静かに死を受容していくのです。
シリウスがくれた手鏡が絶対意味を持つだろうと期待した私は、ハリー同様見事に絶望に突き落とされました。
幽霊になって会えるかも知れない、、、ハリーの透明な思いは、ちょうど「ヒカルの碁」の佐為を探すヒカルと同じ種類のものでしょう。(冬のソナタのチュンサンを探すユジンと同じかも)
大切な人を失った時、自分の存在する世界が希薄なものに思えて、あんなにいつも身近にいた人達がガラス越しにしか感じられないほど意味をなさないのです。
それまでの悩みも悲しみも全てが遠い事に思える離人感覚。。。。
どうしてそこまでわかるのっと言いたくなるほど、大切な人との死別を経験した人なら、今作を読んできっと思うはずです。

※悲しみの共有
今作特筆すべき点は過去4作いつも一人、英雄的にヴォルデモートと戦ってきたハリーが、今度はみんなによって救われるという展開です。
ハリーはついに一人ではなく、信頼で結ばれた仲間が共に戦うという段階へと物語は成長していくのです。
また今作で、ハリーはロンとハーマイオニーという従来の健やかな仲間とは違う種類の、陰を共有する盟友を獲得しています。

・ルーナラブグッド
今作ハリーにとって距離が近かった仲間は、明るく健やかに育ったロン、ハーマイオニーではなく、気弱なネビル少年とルーナという変人扱いされた少女でした。
ネビルとルーナは、幼い頃に辛い体験に晒されたため、どこか周囲と変わっています。
特にルーナは、軽微な発達障害児を思わせるような言動で、周囲から浮いています。最初ハリーも彼女の異様なテンションにひいてしまい、好きになれないのです。
しかし、いざという時、おじけずに力になったのがルーナであり、またルーナに偏見を抱かないロンの妹ジニーの聡明さも印象深いですね。
シリウス亡き後、隔絶された世界の住人は自分一人だと思っていたハリーが、最初に他者に対し心を動かしたのはルーナでした。物を隠されるといういじめに合っても平気な顔しているルーナに、ハリーは初めて同情します。
ルーナは9歳の時母親を事故で亡くしています。ルーナは、死別の透明な悲しみの壁をこちら側に通り抜けた来た一人だったのです。
彼女がどこか変わっているのは、他の子と違い悲しみを背負い生きているから、自分同様その痛みで無垢な魂に爪痕が残ってしまったからだと、ハリーは初めて気づくのです。
あちら側にいる悲しみをまだ知らない幸福な人、傷を持たない人も多いが、既に悲しみを抱えながら懸命に生きている者もいると、その存在の多様さをハリーは知るのです。
周囲に敬遠される変人ルーナの登場で、作者の人物を見つめる洞察力の深さに敬服させられました。

・ネビルロングボトム
もう一人、今作スポットがあたったのはネビル少年でした。ネビルは1作目で、劣等生ながら最後グリフィンドール優勝の立役者になってますが、それには重大な意味があったんです。もう一人のハリーポッターになりうる運命の少年だったのです。
ネビルの両親は有能な闇払いで、ヴォルデモートの手下に拷問され発狂してしまいました。
(ヴォルデモートの攻撃から3度逃れたのは、ハリーの両親とネビルの両親だけで、ハリーとネビルどっちがヴォルデモートの宿敵になっても良かったのです。けれどヴォルデモートは混血のハリーを選んだ)
病院で回復不能に狂った両親を見舞うネビル。正気を無くした母がお菓子を一生懸命ネビルに渡そうとする場面を見て、胸を痛めるハーマイオニー達。。。
愚鈍だと思っていたネビルの重い境遇を知り、彼らも人生の深淵に気づくのです。
実際に闇の魔法使いとの戦いで、一番最後まで戦えたのはネビルでした。両親を苦しめ、実質両親を奪った闇の魔法使いに対抗する決意が強かったのと、痛みを知る分、優しく強さ公正さを備えたネビルの人柄がよく描かれていたと思います。
鈍重だったネビルの成長ぶりは、今作誰しもが心打たれ勇気を得られる部分でしょう。

※〜人生は喪失と獲得の連続である
シリウスの薄幸で波乱の人生を思うとあまりにやりきれないものがあります。
暗い境遇にあった自分を庇ってくれた最愛の友人を自分のミスで死なせたシリウスにとって、その親友の忘れ形見を守って逝った最期に満足している、シリウスは愛ゆえのミスでジェイムズ夫妻を死なせ、その子ハリーの愛ゆえのミスでシリウスは死んだのだから本望だろうと、、、
いくら自らにいい聞かせても、残されたハリーの孤独を思うといたたまれませんでした。
けれど、最後の1ページを読み終えると、何故か、温かい希望に満たされます。
それはシリウスが生きている時、見えなかったものが、よく見えるからです。
ハリーは、本当は幸せなほどに、多くの人に愛され支えられ存在しているのだという実感です。
「泣くなハリー!君の側にいるのは、ハグリッド、ロンハーマイオニー達友人だけじゃない。ダンブルドアにマクゴナガルという祖父母、ルーピン先生という父、ウィズリー夫妻という叔父叔母、、、肉親同様の愛を注ぐ存在がいる!」って、絶望の淵にあって、改めてその幸福が光を放つのです。
実は娘のネタバレでシリウスが死ぬことを私はあらかじめ読む前から知ってました。けれど私はシリウスよりもルーピン先生の方がハリーにとって重要な人物に思えたので、シリウス本人はともかく、ハリーにとってここまで重大な悲劇に思えなかったんです。
でも実際に読み始めたら、結局ハリーが苦境に喘ぎ焦燥感を抱いているシリウスを心配している分、ハリーはシリウスにより自分に近い存在と感じている思いにすっかり同調してしまって、ルーピンら不死鳥の騎士団の存在を忘れるほどでした。
(往々にしてルーピンのような人格者は、尊敬できるけれど遠い人のように思え、欠点のある人間に惹かれる心理が誰しもあるように思われます。)
そのシリウスを喪失して、それまで空気のように当たり前だった他の人達の愛情が、こんなにもハリーに注がれていること、その幸福を改めて知るハリーと同じ気持ちになって、周囲への感謝の念で読み終えることができるのです。
絶望の中から生まれる希望、、、物語の〆として至高でありながら、珠玉の傑作でしか味わえない言いしれぬ余韻に満たされたのでした。
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テーマ: ハリー・ポッター -  ジャンル: 小説・文学
by ふざけおに  at 22:48 |  ハリーポッター |  comment (0)  |  trackback (0)  |  page top ↑
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