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趣味の画像と家族日記。 主に児童向けの映画、書籍、TVの感想や家族の話題を徒然に綴ってます。

~アナキンの涙の理由~ SW・EP3「シスの復讐」私的考察3

Posted by ふざけおに on   8 comments   3 trackback

20050831161747.jpg

 メイキング本執筆の段階では、予告編で繰り返し流れているアナキンがムスタファーで灼熱の炎を見ながら涙するシーンや、分離主義者を殺害しながら絶叫するシーンの撮影の記載はない。なので、ほとんど編集が終わった2004年10月以降に後から追加された可能性があるようにも思う。
 映画の撮影と同時進行で書かれたと思われる小説版「シスの復讐」でも、シスになってからは虐殺を楽しむ描写こそあれ、自分がやっていることの非道さに涙するアナキンの苦悩は描かれていない。
 メイキング本の続きはあるらしいので、そこで触れられているのかもしれないが、私なりに、アナキンが「議長に忠誠を誓い、共和国を裏切らない」から「皇帝を倒し自分の帝国を作る」と言い出すまでの心境の変化を、涙のシーンと絡めてちょっと考えてみた。
妄想電波屋さんの「僕の帝国」の記事に触発されました(^^)
 
 メイキング本では、ジェダイ聖堂で殺戮を行った後のアナキンの心情について、ルーカスは感情を押し殺す演技をしたヘイデンに次のように説明している。
①P78、82
「『僕は共和国を裏切らない』と言うとき、君は自分の言動を正当化している~(中略)~君は感情的になっているんだ。君は決断を下した。だがそれが正しいかどうか自信がない・・・君の中に残っている善の部分がいつもこう問いかけてくる。僕はいったい何をしているんだ?とね。最後の最後までそうだ。だから、君は寝返って、皇帝を殺すことになるんだ。」クリステンセンはうなづく。「この時点では、完全に冷たい人間になっているわけではない。感覚が麻痺しているのは、一番の親友だった相手に『おまえなんか大嫌いだ』と言うときだよ」とルーカス。
またムスタファーでのアナキンの内面をルーカスとヘイデンは以下のように語っている。
②P114
ムスタファーの着床プラットフォーム「アナキンにとっては何もかもうまく言っている」~皇帝のように、自信たっぷりに話すようにクリステンセンに要求する。
③P117,118
ルーカスはアナキンの口調について説明する。「これはアナキンの最高の瞬間だ。新しい力を手に入れ、すべてがうまくいっているんだから。」
翌日クリステンセンはこう語った。「アナキンは家族のような存在の人々を殺してきたばかりだ。だからその行為が心に重くのしかかっていると思ってたんだ。でもジョージからは『あれは、アナキンがそのせいで一生苦しむことになる、ほとんど偶発的な怒りの爆発のようなものだと捉えている。だからあのシーンは喜びにあふれ、得意の絶頂にある、という感じに始めてくれ』と言われた。『万事申し分なくうまくいっている。僕は銀河の誰よりも力のある男で、パドメを救うんだ』とね。

④P202
アナキンがムスタファーで自ら犯した殺戮を見渡す際に必要なのは、「喜びにあふれ、邪悪で、正気を失ったクローズアップ」だけだと説明する。
 
 虐殺後のアナキンの心情をこのようにピックアップして見ると、①ではアナキンはこの後EP6の最期まで、果たして自分の選択が正しかったのか、間違っていたのか迷い続けていて、シスになってもアナキンの心は完全にベイダーに侵蝕されたわけでないことが説明されている。完全に感覚が麻痺するのはオビワンに憎悪を叫ぶ時だ、と。
 一方、ムスタファーでの心情②~④は、アナキンは万事自分の力でうまく行っていることに満足している点が強調されている。
 ヘイデンは最初、ジェダイ聖堂での仲間の虐殺をしてアナキンは辛い気持ちを押し殺していると思っていたようだが、ジェダイ粛清に関してためらう描写はないところを見ると、アナキンはシスに転向し、ジェダイを滅亡させることは正義だし、それをしなければパドメを救えないという気持ちが強くて、その時はそんなに苦悩してはいないと思われる。むしろ、苦悩から逃れるためにやった行為だ。
 その後、ムスタファーでパドメに会った時は、万事成功と狂気に冒されたような絶頂気分に至るわけだ。
 だが、そのアナキンが、パドメとアパートで会った時(迷い)と、ムスタファーで会った時(歓喜)の間に、涙していたのは何故なのか、、、事を終えてふと我に返り堕ちた自分を感じて泣いたのだと私は捉えていたが、その後の言動の変化を考えると、実はアナキンは分離主義者の口から、彼らと議長(シディアス)が裏で繋がっていたことにムスタファーで気づいたのではないかと思える。この戦争の全てが議長の謀略とはっきりわかり、議長も正義ではない、シスもまた自分を騙し利用していることを、理解したのではないだろうか。無抵抗とはいえ戦争の元凶であるニモーディアンを議長命令で処刑するのに、あんな風に絶叫したのも、慈悲を捨てたことへの良心の呵責とシディアスの陰謀が見えてきたからではなかろうか。苦悩から逃げたつもりが、より深い苦悩=罪悪感が、頭をもたげて来たからとも読める。
 ジェダイ聖堂を襲った時は、議会が民主的に選んだ議長(シディアス)暗殺を目論む反乱分子を議長命令で粛清することにアナキンは大儀があって、まだあの段階までは議長がシスとわかってもその人柄の良さをアナキンは信じていたと思われる。アナキンはメイス・ウィンドウと議長の権力闘争を見て、ジェダイもシスも大差なく見えたろうし、どうせジェダイの掟を破って結婚し子供を持った以上、ジェダイオーダーを追われるのも時間の問題だから、自分を拒絶する組織を壊してしまいたいという衝動もあったと思える。ジェダイオーダーに対する失望の分だけ、シスへの期待がアナキンにはあった。
 しかし、信じた議長が自分の思っていたような善人ではなかったと悟った時、激しい人間不信、ジェダイとシス双方への失望感と、もはや後戻りできないことをしてしまった自責の念に、激しく心をかき乱されたと思われる。特に彼が父とも慕い敬愛していた議長が、裏切りと謀略の限りを尽くし権力の座に着いと実感した時の煩悶は想像を絶するものがありそうだ。ジェダイにもシスにも、その双方を信じて仕えた今の自分にさえも、「正義」はない・・・。信じた者は皆自分を騙し、裏切る・・・と。
 灼熱の溶岩を見つめ涙する彼の中で何かが壊れたのだろう。
 
 観客はメイスとシディアスが極端なだけだとわかるが、さんざん双方に翻弄されたアナキンの目には、あの二人が心の拠り所としたジェダイとシスの象徴に映っているのだ。それはアナキンの猜疑心と被害者意識を肥大させるのに十分で、その後「裏切り」という卑屈な言葉を彼は何度も口にすることになる。(疑心暗鬼になったアナキンは、ジェダイに騙されシディアスに騙され、最後の砦であったパドメも、地位を捨て友を裏切り虐殺に手を染めてまで守ろうとしたパドメでさえも自分を騙したと思い込んだから、逆上した。)
 彼はパドメの命を救う方法を学ぶためにシスであり続けなければならないが(戻ろうにももうジェダイオーダーは存在しない)、戦争をけしかけ権力を手にしたシディアス卿が「正義」とは思えないから、アナキンはジェダイの次は皇帝を滅ぼし、自分が皇帝になって銀河に正義と安定をもたらす決意をしたのだとも思える。そうすれば自分のここまでやったことに何ら間違いがなく、「正義」と平和と安定が銀河にもたらされるはずだという答えをアナキンは出したのだ。
 あの涙を機に、「共和国と議長に忠誠を誓う」から、「皇帝を倒し、愛する人と一緒に自分が銀河を支配する」というパドメとオビワンと観客を(後にはルークも)仰天させる「世界征服の野望」へと思い及んだのではないだろうか。
 
 ベイダー卿は、フォースの暗黒面は素晴らしい、ジェダイは悪で、シスは正義だとその後も言い続けたが、シス卿である自分を肯定するには、自分が銀河を支配するまで当面、今のシスの体制を「正義」にしておく必要があったのだろう。
   
 シスの思想を受け入れることは、権力の亡者に成り下がることなので、一見唐突に見えるベイダー卿の世界征服の野望はそれでちゃんと説明つくのだが、ムスタファーでのアナキンの悲鳴と涙を、あえて初期構想にないのに挿入した意図を考えると、こういう読み方もできるかなと思った次第である。
的はずれだったらすみませんm(__)m

※追記
 コルサントの夕陽を見てアナキンが涙したのは、ジェダイへの失望で、ムスタファーで溶岩を見て涙したのは、シスへの失望と、読めなくもない。 

 全てはものの見方次第だと言う台詞が何度もスターウォーズでは繰り返されるし、ルーカスもその言葉が好きらしいが、、少なくともオビワンのルークに言った「アナキンはベイダーに殺された。全てはものの見方次第だ。」というのは真実ではなくて、ルークやパドメの言うとおり、ベイダーの中にアナキンは共存しているのである。

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Comment

sapphire says... ""
TBと丁寧な解説ありがとうございました。
FC2のスターウォーズのカテゴリーから辿り付きこの記事を拝見したのですが、
目からうろこが落ちた気分です。めぐり合って良かった~。
他のファンサイトさんでもすごく意外な事実の発見があったりと、SWは知れば知るほど奥が深いですねぇ。

これからも色々楽しみに拝読させて頂きますので
ブログ運営頑張ってくださいね(^o^)丿
2005.09.01 01:28 | URL | #GCA3nAmE [edit]
たまき says... "(*´∀`*)"
TBありがトン。
ふざけおにさんによる「アナキンの帝国支配への野望」の考察が読めて嬉しいです。
それどころか、自分の記事から触発されてなんて…うはぁ、お恥ずかしいかぎりです(*´∀`*)エヘヘ
アナキンの心情にさらに深く踏み切ったことには脱帽です。
それにしても、ムスタファーの討伐に出かけたアナキンは、分離主義者とパルパティーンが裏で繋がっていると知らなかったんだ?
私はあの時点では知っていて、共和国が帝国になる為の最後の仕上げとして討伐に向かったと思っておりました。
アナキンは知らなかったなら、ムスタファーについたアナキンはあのムッツリ顔で内心困惑していたのでしょうなぁ。討伐にきたのに丁寧に迎え入れられたんだから。(´▽`)

アナキンの心の中
『?、どうなっているんだ?討伐にきた自分を向かえ入れるとは…待っていただと…ここへ来ることはマスターしか知らないことのはず?。まさか!……このことは後で考えよう、兎も角今はこいつ等を皆殺しにすることが先決だ!』

なんてね…。

メイキング本いいですね。その内手に入れたいと思います。
2005.09.01 01:59 | URL | #- [edit]
wan says... ""
はじめまして。こんにちは。
このたびはTBありがとうございました。

SWは映画ももちろん面白く、楽しめるのですが、小説や、監督等のインタビュー記事を読むと、隠れていた深層心理みたいなものがとても興味深いですよね。
今回とくに小説版のシスの復讐には映画どうようはまりました。
こちらからもTBさせてください。
2005.09.02 14:12 | URL | #- [edit]
ふざけおに says... ">sapphireさんへ"
コメントありがとうございます。そちらで紹介して頂いたので、うれしかったです。
そちらの感想もすごく素直で良いなあって思いました。アナキンとパドメにうっとりする仲間が増えるとうれしいですよ~
FC2私も入って良かったって思ってます。ブログ使いやすいと思います。年末に登録した時はすごいマイナーそうで、5月にSWのテーマ思いきって立ててみたんですが、、実際にはそれなりに盛り上がって良かったです。
これからもよろしくお願いします!
2005.09.02 23:37 | URL | #- [edit]
ふざけおに says... ">たまきさんへ"
こちらこそ、そちらのブログ、ムウマリュ含め楽しく読ませて頂いてます~

>「アナキンの帝国支配への野望」の考察
たまきさんが深く踏み込んでるのを読んで、私も思いきって思ってたこと書こうって気になりました。たまきさんの考察を読んで自分が思ってたことを出せたんで、一寸違うかなって気もしますが、もう今更いいやって気分になってます(笑)
そのうちツッコミ感想やる気になって来ましたよ。アニメオタクのサガですよね(^^;

>ムスタファーの討伐に出かけたアナキンは、分離主義者とパルパティーンが裏で繋がっていると知らなかったんだ?
>私はあの時点では知っていて、共和国が帝国になる為の最後の仕上げとして討伐に向かったと思っておりました。
うーん、実は私もそう思ったこともあって微妙ですけど、映画では直接アナキンの前でシディアスが分離主義者を操ってることを問題にしてないんですよね。アナキンは共和国の混乱の影にシスがいるという評議会の見解を知っていたにせよ、彼は議長は何も悪くない、被害者だと信じてました。
だから、転向した時はジェダイが謀略によって、議長暗殺と共和国転覆を狙ってるという議長の見解を信じ、ジェダイが嘘をついているのだと思い込んだのではないかと。
ジェダイが共和国に対し非合法なクーデターを起こしたとパドメに告げたあたりまでは、議長は悪くないと信じていたのだと思います。シディアスとパルパティーンが同一人物であること、ドゥークーの師であったことがまだピンと来てなかったのでは?議長を苦しめ共和国をないがしろにした戦犯である分離主義者討伐に行ったのに、ムスタファでのー連中の反応を見て、これは議長が彼らを利用した上に始末しろという仕事とわかって来て、張り巡らされた謀略、議長に利用されたことを悟ったのかなあって。
アナキンが泣いた後、皇帝に対する返答態度が変わってるのも、アナキンが皇帝を軽蔑し始め、倒す決意をした表れでないかと思うんですけど・・・。

>『?、どうなっているんだ?討伐にきた自分を向かえ入れるとは…待っていただと…ここへ来ることはマスターしか知らないことのはず?。まさか!……このことは後で考えよう、兎も角今はこいつ等を皆殺しにすることが先決だ!』

うまいです!!そういうことかなって思いました。

>メイキング本いいですね。
批評がないし、作り手の熱意が伝わってくるし、裏話がわかって面白いです。
2005.09.03 00:11 | URL | #- [edit]
ふざけおに says... " wan さんへ"
コメントありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

>小説版のシスの復讐には映画どうようはまりました
私は映画で十分、納得できて、描写不足を感じなかったのです、だから、小説やスタッフキャストのコメントを追うのは、自分の読み取ったことの確認が主目的です。当たってるとうれしいし、微妙に読み違いもあって、ああ、そういうことね、って気づかされたりする発見がまたいいんですよ~また映画の感動が蘇ってくるのが良いですねv
2005.09.04 20:21 | URL | #- [edit]
Organa says... "こんにちは"
お忙しそうですね、ふざけおにさん

そちらはもう12回もEP3をご覧になったのですね!私は今日やっと5回目を見てきました。至福のひと時を味わってきて満足です♪

今日はその感想でTBさせて頂きました。宜しくお願い致します。

PTAのお仕事は結構嫌がる方も多いのに楽しんでいらしてすごいです。
どうせやるなら思いっきり!がいいですね。
でも、お体を壊さないようにして下さい。


2005.10.06 19:53 | URL | #kUr9nKys [edit]
おに says... "Organa さんへ"
きゃあ~、せっかくうれしいTBとコメント頂いたのに、反応遅くなってすみません。
ちょっと私的にあわただしくて、SW関連の新記事を書いてからおじゃましようとついズルズル。
書きたいことは山ほどあるのに、時間がなかなか。こんなんではダメですよね~。
DL後の解凍にもトライしないと。ふふふ。

EP3のDVD発売が決まった後でもこっちではまだSW上映してるんです。12回目、いつ見に行こうか考えてるところですよ。
SW公式ビザカードもファンの一念で作っちゃいました。カード嫌いの旦那に納得してもらうのに苦労しましたよー;。

一緒にこれからも熱くSWを、アナキンスカイウォーカー及びヘイデンクリステンセンを語り合いましょう!!よろしくですぅvv
2005.10.11 23:08 | URL | #- [edit]

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