ログハウス

趣味の画像と家族日記。 主に児童向けの映画、書籍、TVの感想や家族の話題を徒然に綴ってます。

宇宙戦士バルディオス~その愛(2)

Posted by ふざけおに on   0 comments   0 trackback

○父と子
ガットラーとアフロディアの関係は、一線を越えているか否かに関わらず、父と子にしては歪んでいると言わざるを得ない。そういう捉え方をしなくも、作品理解に大きな差し障りはないが、関係の歪みを描こうという意図は少なからず作中見え隠れしていたと思う。
ガットラーはミランに対しては、純粋に養子にかける父性愛を抱いていたろうが、養女に対してはなかなか単純にはいかないだろうと想像できる。もちろん彼女に対する父性愛は非常に強いと思われるが、そもそも世の父というのは、娘を他の男に渡したがらないし、上司はかわいい女の部下を若い男に奪われるのを嫌う傾向がないわけでもない。困ったことに父性愛と恋愛(執着というべきか)は反比例しないこともままあるというか。
(※六条の御息所が娘の秋好中宮の後見を源氏に託す時、実の娘でも難しいのだからと、くれぐれも義理の娘に手を出さぬようにと、釘を差したにも関わらず、好色な源氏は我慢できなかったのを思い出す。聡明な秋好中宮は源氏の誘惑に惑わされず、母の轍を踏まず幸福を得た。)
ミランがいるうちはアフロディアも多少不穏なものを感じても、ガットラーが弟にとっては純粋に父であり、強大な後見である以上、自分の置かれてる状況を誤魔化せる部分があったのだろうが、ミランの死後二人の距離は不安定になったと想像される。
「弟を殺された時、女であること捨て」なければならない理由は、実はこっちにもあって、事前に予防線を張ったともとれる。
実際のドラマ上では、二人の親子関係という側面はすっかり姿を潜め、上司と部下という主従関係に収まっていて、それは一番アフロディアが望む自然な形だと思われ、ガットラーも部下への寵愛という形で彼女への感情に折り合いをつけているようだ。
それがアフロディアと周囲の軋轢を生んでいるのだが、彼も盲目的に彼女を愛していることは明白だ。ところがだんだん主従関係では、彼女を守れないというジレンマをガットラーは抱えることになる。
劇場版ではガットラーがアフロディアに対し余裕があるのは、既に自分の所有物だという自信があるからで、支配被支配の関係が強調されている。TV版ではまだ彼女を追っている感が強く、余裕がない分、淫靡な視線が異様である。
これがまたアフロディアが頭堅くで融通が利かないので、上手くかわす大人のテクニックを持ち合わせていない。(富野作品の女キャラに馴れるともどかしいくらい。)そこが彼女の精神年齢の幼さに映り、不器用さと感じるが、ガットラーにすれば、すれてないのでかわいいのだろう。


○二つの認めたくない自分
「私は女を捨てた」というアフロディアの台詞を聞く度、同性としてはあまり耳障りの良い言葉ではないと感じる。
一般論として、「女を捨てる」というのは尼寺に行くイメージに象徴される。要は女性としての幸せを求めない(いわゆる恋愛結婚出産育児を女性としての幸せというなら、それを求めない)ということと、同時に男性に追従する生き方ではなく自立した生き方をしたいということでもある。
これは21話のマリンに対しては文字通りの意味合いなのだが、こと相手がガットラーとなると、それは詭弁だろうと苦笑いしてしまう。
アフロディアは常にガットラーに追従して生きているだろうにと。
その上ガットラーの求愛に対して、「女を捨てた」ことを理由に拒絶するわけだが、どう見ても彼女が女だから、愛していない男を受け入れられないに他ならない。意中の人が他にいることを彼女の表層意識は認めるわけにいかないので、カモフラージュなのだが、そこは彼女は可愛いい女で済むところとも言える。
しかし、実はもう一つ、彼女がどうしても認めたくない深刻な問題がそこに隠れている。それは事実上、総統の情婦であったという現実だ。、無条件の愛を注いでくれる理想の養父が、実は不純であったことを認めることは、同時に彼女自身も汚れていたことを意味する。それは直接肉体関係があろうがなかろうが、相手の一方的な好意だろうが、二人の間の精神の清らかさを否定することになるから。
養父の上司としての接し方から彼女も漠然とわかっていたことだろうが、明確にそれを白日の下に暴露されるのは潔癖な彼女には耐え難いだろう。
この背景が見えてくると、それまでの冷酷非道なアフロディアに対し、実は彼女こそがガットラーの最大の被害者だという視点が生まれ(両親暗殺関与の疑念も含め)、彼女の抱える複雑な事情が痛々しくて、感情移入させられるのである。

光源氏は養女である紫の上を妻に迎える時、私は男だからこういう形でしか愛を示せないし、こうすることがあなたを守ることだと説明し、紫は夫として源氏を愛するようになるのだが、それでも彼女が無垢な心への裏切りと感じたその夜のトラウマは、終生消えることはなかった。
かくして自分の尊敬や憧れが幻想だと知る彼女の傷つきは、忠誠を誓った人への思いが揺らぎ、マインドコントロールから覚めていく要因になっていく。。
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