ログハウス

趣味の画像と家族日記。 主に児童向けの映画、書籍、TVの感想や家族の話題を徒然に綴ってます。

桜桃忌

Posted by ふざけおに on   0 comments   0 trackback

近頃、太宰治生誕100周年とかで、やたら話題になる。
今年の6月19日桜桃忌は、たくさんの若者が訪れたとかニュースが流れ、NHKの特集番組も幾つか流れた。

桜桃忌というと、太宰への哀悼と同時に永井龍雲の歌が頭の中に流れる。
「♪あなたから借りた太宰~いつもならば忘れているのに~思い出す桜桃忌」
永井の他の歌は全然覚えていないけど、何故かこの歌のこのフレーズに、歌の内容(自ら命を絶った青年への思慕)が、哀切を帯びて思い出される。

永井の話はともかく、本家本元、太宰治について盛んに太宰治のポジティブな「死にたい気分を励ましてくれる」イメージをTVで流しているのだけれど、、、、、それでいいのかな?
「死にたい気分に寄り添ってくれる」、「死にたい気分の背中を押してくれる」って感じは本当にないのかね?(笑)

いや、確かに太宰の人生はどうあれ、作品は絶対面白いと思う。文体も自由自在で天才だよね。って。太宰の作品は常に読者を楽しませるユーモアに溢れ、それは自虐的なほどのサービス精神で、心の闇を読者に意地悪く「毒」のように忍ばせるわけでなく、「出来の悪い子ほどかわいい」という痛々しいけど愛すべきものに感じさせてくれた。
険悪だった三島由紀夫を黙らせたというエピもうなずける。三島由紀夫の「金閣寺」も不健康で、耽美な倒錯した世界だと思うんだけど、太宰ほど読ませる力はないもんね。
死に方は三島の方が潔いよ。そりゃあ。

私が学生の頃は宮沢賢治没後100周年で、すごいブームになった。地元の観光地化、賢治の名を借りた商業化が問題になって、「ニセ賢治に注意せよ」という外国人の投書が話題になったと記憶している。もっとも何もない田舎にとって、そうでもして町おこしをしないとならない事情もあろうし、故郷を愛する作家達にとって、それが不名誉なこととは思わないだろうし、それはいいんだけど、あまりに作られたイメージが固定化してしまって、美化され過ぎるのはどうかな~。

自分が三流女子大日本文学科の学生だった頃、当時太宰にかぶれない文学少女なんかいるとは思えないほど、周囲に「人間失格」を読んだことがない友達はいなかったね(笑)。。
みんな好きなんだけど、どっぷり浸かってる子を見てると、そこまでか?って、どこか斜めに構えて、好きなんだけど、素直に好きって言えない作家だった気がする。
もちろん「走れメロス」や「富岳百景」の非常に人間への信頼と生命力に溢れた健康的な作品を皆も知ってるんだよ。ほぼ皆全作品読んでるのだけど、「人間失格」だけが何故か作者の全イメージにつながってしまうという、、

当時、太宰の研究をしたいというと決まって、先生方は相手にしてくれなかった。「死んで50年くらいの作家は論が固まらないから」というのが表向きの理由にしていたが、本当は年寄りは太宰の不健全な生き方が嫌いで、それに惹かれる若者の青さも不快なのだ。
その気持ちは、なんとなくわかって、思い入れがないからこの際言っちゃうけど、尾崎豊に対する若者の感覚を好きになれない自分と同じかも。太宰と尾崎が同じなのではなく、あくまで大人が嫌悪する感覚が同じってことね。

親しい友人グループと、社会人になってから「人間失格ツアー」と称して金木村や斜陽館にドライブに行くほど太宰は好きなんだけど、でも私らは誰も太宰に浸ってはいなかった。
だって浸ってる子は、カウンセリング研究会なんかに来て、「そうなんです。私もそんな気持ちなんです」とか、しくしく泣き出すようなか弱そうな人達が多かった気がするから、そういう弱さを人前に晒すことの出来る贅沢さ、豊かさを持っている人たちで、「人前で涙を見せたくないといつも思ってるから辛い」といいつつ、「泣くな!」と頬を張られそうな場には2度と行かないで済む人達なのだ。弱さを見せ同情を求める権利のある人たちは、かたや生きるためには強くならねばならない、「強さ」を演じることを強いられて染みついてしまっていた私らには、いささかいたたまれない空気だった。

それって考えてみれば太宰が「人間失格」で描いた、家庭においても、左翼の巣にいても、旧制高校のバンカラ寮にいても、いつも何かしらそこの集団と自分との違和感、自分を常に異質に感じとけ込めない空気を敏感に感じるのと同じとも言えるのだが、けれどそこでその空気を拒絶もしないが、無理に合わせることもしないくらいの気遣いと強さは自分にはあった。

あれ?話がすれてる。
何が言いたいかというと、太宰に傾倒する人達に強すぎる光を当てないで、そっとしておいてやってくれってことなんだけどね。
関連記事
スポンサーサイト

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://fuzakeoni.blog3.fc2.com/tb.php/357-903a4ce5