ログハウス

趣味の画像と家族日記。 主に児童向けの映画、書籍、TVの感想や家族の話題を徒然に綴ってます。

「カールじいさんの空飛ぶ家」鑑賞日記★★★★★

Posted by ふざけおに on   0 comments   0 trackback

「私より一日でいいから長生きして」by音無響子(めぞん一刻)。
「例えばわずか一日でいい、俺より早く逝ってはいけない」by関白宣言(さだまさし)


最愛の伴侶喪失を人はどう受容し、残された時間とどう向き合うのか。

人生は獲得と喪失の連続である・・・同じように人生と家をリンクさせた「海辺の家」に寄せた浅田次郎氏の言葉が脳裏に蘇ってきます。
78才のカール爺さんを通して、人にとって本当に大切なのは何なのか、優しくそしてユーモラスに見る者に伝わって来るこの映画。
言葉ではなく、映像が全てを語るアニメです(^^)。

家

娘二人と日曜に行ってきました。
さすが、ディズニー。良い映画でした~!
愛する人との死別も、湿っぽくならない程度の悲哀に収め、観賞後は満ち足りた爽やかな気持ちになれるので、ヒキがとってもいいんです。娯楽と感動のバランスが絶妙です。

最初の方、奥さん死んだあたりから、これ以上、湿っぽい映画だったらどうしよう?最悪爺さんの死ぬ前の一瞬の脳内世界だったとかいうオチだったらどうしよう?それでなくても、我が家は「お爺ちゃん」は泣かされるキーワードなのに~;(今回は来てませんが、2号は特にじいちゃん子で、いつもお爺ちゃんキャラに思い入れが強いんです。)
待てよ、あれ、これディズニーアニメだからそんなわけないよね~って。途中で気づき、後は楽に見られました(^^)。

宙に浮いてからは、この映画世界の現実なのか幻なのか、あれどっちなの?と思ってる一瞬の隙に、非日常の映像に引き込まれる感じがして、ちょうど「千と千尋の神隠し」で味わった感じに似ています。
主題は、ズバリ「ハウルの動く城」でしょう。タイトルからして~(笑)
「ハウルの動く城」を、より非言語的にシンプルに、でも主人公の人生をより長く、主題歌「世界の約束」を過ぎるまで見事に見せてくれます。映像と極めて単純な世界設定で、一人の老人の人生が十二分にわかるんです。
老若男女、全ての人に見せたいアニメ映画でした(^^)。

ここからネタバレ====================
カールは、有名な冒険家に憧れ、同じ夢を抱く快活な少女エリーに出会い、 恋に落ち、結婚。愛し合う夫婦なら、当然子どもを望むのですが、エリーは医師に子どもを授かれない体であることを告知されたようです。悲嘆にくれる妻エリーを優しく支えるのは夫のカールでした。夫婦は動物園で働きます。カールは子ども達に風船を売り、エリーは案内係。二人は冒険の夢を語りながら幸せに暮らしますが、やがて歳を取り妻は病で静かにこの世を去ります。カールは、二人の出会いから全てを知る「家」で一人孤独に世界から取り残されてしまうのです、、、
カールは、エリーが出会いの時見せてくれた日記、出会った後冒険が始まるという予告の次のページをどうしてもめくることができません。
(ってここまでが 、台詞でなく、映像で説明されてるんです@@;)

開発が進む近所、工事会社と古い家に固執する頑固なカールとの間に諍いが起こり、ついに裁判所はカールを老人ホーム入居を命じます。カールは思い悩みますが、妻との思い出の詰まった家を風船で飛ばし、妻が生前夢見ていた冒険に旅立つのです。
と、そこに、ジュニア探検隊で老人のお手伝いを課題にした少年が同行することになります。
道中変わった子のお手伝いという名の邪魔に辟易しながらも、カールは少年と心を通わせ、元気を得ます。けれどある場面で、妻の夢をかなえることをカールは優先し、少年と別れてしまうのです。
なんとか、妻の夢のイラスト通り、冒険の地に家を置くことに成功し、そこで彼はやっと妻の日記の続きを読むことができました。二人の幸せな日々を綴られた日記の最後に、「今までありがとう、これからは新しい冒険に旅立ってね」とエリーの自分亡き後の夫を気遣う優しいメッセージを目にします。「幸せを求めて、生きて欲しい」という妻の願いを読みとったカールは、思い出の品々を捨て、危険に飛び込んでいった少年を助けに向かうのでした。
実は少年は彼の友達(鳥)と、かつてカールが憧れた冒険家に捕らわれていたのです。カールは、冒険家から、少年とその友達を救い出しますが、妻との愛の証である家を失います。
けれど、カールは「子ども」という新たな愛を、エリーが望んだ幸福な余生を獲得するのです。

○父のない子と子のない父と

「二十四の瞳」で有名な壺井栄の作品に「母のない子と子のない母と」という小説がありますが、この二人の冒険はまさに「父のない子と孫のない爺さん」で、喪失した者同士が、相手の失った者を補い合うという、、、その感動の結末も、実にユーモラスで仰々しさがなく、さりげないのが、心地良いです。
伴侶に先立たれたら生きていけないかも、という不安は、普通に子どもがいれば遺されてもなんとかなりそうだと思えますが、カールには子どもがいなかったので、思い出と共に死を待つくらいしか余生を送る術がなさそうでしたが、、、カールは妻の死を受容し、思い出よりも今生きてカールの愛を必要としている若い生命と共に生きることを選んだのでした。

○変わった子どもと父性愛
父性愛がハリウッド映画(SWや宇宙戦争代表される)でよく題材になるのは、映像の作り手が男性であり、次世代に何を映像として残すかと考えた時に、クリエーターが今自分の描きたいことの選択肢として比重が高いのだろうと思います。
また映像で描かれる子どもは決して、カルピス劇場の主人公、ネロやスターリングのような大人が安心できる温和な子どもばかりではありません。
ディズニーアニメの「ファインディングニモ」のニモは、ヒレが正常より小さいというハンデがあったし、パパの良き友達ドリーは学習障害を思わせる健忘と落ち着き無さでした。この映画に登場する少年も、非常にうるさくて落ち着きのない子どもです。いわゆる窓際のトットちゃん的に注意欠陥多動なのですが、子どもというのは多かれ少なかれ、多動で多弁なもので、それが子どもらしさなのですが、やたらこじんまりとまとまった集団の中では、浮くことがあります。でもこの子達は他者に対し、偏見を持たないという生来の美徳を持つ子達なのです。
偏見を持たないから、自分の前に現れる異質なものを警戒せずありのままに受け止めます。
トリはこの少年だから、なついたんですよね。
こういう子どもの個性を日本のアニメはどの程度肯定的に描けるのか、変な子、親のしつけが悪い、という話になってないか、毎度気になるところです。。
この映画の冒頭でも、雲が様々な生き物のベビィを創造し、コウノトリに運ばせるのですが、凶暴なワニやハリネズミの赤ん坊担当のコウノトリは傷だらけになります。担当するコウノトリは苦労はするのだけれど、どんな生命の誕生をも祝福し、プロテクターを纏って、運搬に奮闘するのです。どんな生命も祝福し、大切にされるべきいうことをわずか数分の映像が気づかせてくれます。
もっともこの短編映像を見て、即座に1号は「なんで、ワニとかゲテモノが産まれちゃいけないのさ?」と一瞬むくれて言いました。「違うでしょ。だから、産まれていいんだよって映画じゃない」と私が言うと、「あ、そうだね」とほっとしてました(笑)。

○冒険よりも大切なこと
さてこの映画のすっきりしない点、ひっかかる点があるとすれば、夫婦が憧れ続けた「冒険家」のポジションです。なかなか考えさせられますね~。
非言語的に迫ってくるテーマに敢えて、理屈つけますが^^;
多分、ハウルで描こうとしていた男の生き方の理想を示唆してるんだと思います。(多分)
冒険を求めて家を出て帰らない冒険家は、共に暮らす愛すべき家族を持っていません。家を持たずずっと冒険をし続けるヒーローです。
カールは、夢は夢として憧れ続けますがヒーローとはほど遠い地味な仕事で、たった一人の愛する妻を幸福にするために生涯を捧げます。
夢や冒険に人生を費やしたり、正義のための戦いをする英雄より、いわんや地位や名声、お金のために生きるより、たった一人の愛する女性を幸福にする生活を営むことが、男の生き様として素敵だよと。
確かに一人の女性への愛を生き甲斐にしてもいつかは死別の時が来ますが、けれど一つの愛が終わっても、その愛をまた必要としている次世代が世界中にいるよ、誰かにその愛を注いで幸福にする生き方こそが、幸せな人生なのだよと。
この映画が伝えたかったのはそれでしょう。
3号のように「奥さん生きているうちに冒険に連れてってあげれば良かったのに」という声も聞こえてきそうです。でも、本当はエリーは、冒険という夢を夫と共有しただけで、彼との小さな家に留まるささやかな生活が一番の幸せだとわかっていたんでしょう。だから、カールに誰かと新しい夢を共有する生活を勧めます。愛とは何も奪わず、その人の健やかな生存を願うことですから。(byデビット・ウェイン)
カールが過去の愛の証であり最も大切だった家を捨てて、子供を選んだのは、エリーの愛に応えて、今生きている者のためにできるささやかな生活が、一番大切なものだと悟ったからでしょう。

「世界の約束」や「千の風になって」を聞くと切ないです。舅の死後、夫への追憶に1年を費やし、その後うち孫が産まれて元気になった姑を見て、ああやっぱり愛しあって結婚して、やがて子どもを産み、その子がまた大きくなって・・・という繰り返しはすごいことなんだなあと思ったものです。この映画はそんな私にはツボでした。
もしものこと、夫の死後の孤独を思うと不安な私ですが、その時はきっと子供達や孫が癒してくれると想像できる分、私は幸せなんだと思いました。

○バウリンガル
役に立つ、日本の発明品。
感想に犬の話題が少なくてすみません。


○幼老共生
余談になりますが、ちょうど先週のクローズアップ現代で幼児と老人の共生施設での事例が紹介されてました。アルツハイマーで立ち上がることもままならぬ老人が、施設にいる孤児が目の前に来ると、しゃんと歩き出し幼児の世話を始め、死んだような目が生き生きと輝いてくるという、、、、
この話で、よく少子化で空いた小中学校の校舎を保育所にという提案がありますが、是非老人ホームと保育所を一緒に作って欲しいなと思いました。
できれば、幼、中、老共生型だといいですねえ。中というのは、中学生や高校生の頃に、世代の違う人たちから隔絶するのは、良くないと思うからです。小学生は1年生~6年生までいるので、小さい子どもがどういうものであるか、見られるわけですが、その後の6年以上の間(中、高、大あるいは職場)で、違う世代のいない社会に切り取られているより、子どもやお年寄りと近くにふれあって生きる方が、より豊かな社会性を身につけられると思うのです。若者にとっては介護や子育てを身近に感じるきっかけになるでしょうし、何よりお年寄りが若い世代といることがどんなに喜びとなるかと思うと、、、、
この映画見ながら、老人と子どもと、それに若者も一緒にいる空間があったら、幸せのスパイラルが見えてきそうに思いました(^^)。
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