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趣味の画像と家族日記。 主に児童向けの映画、書籍、TVの感想や家族の話題を徒然に綴ってます。

映画「ハート・ロッカー」鑑賞日記 ★★★★☆

Posted by ふざけおに on   0 comments   0 trackback

淡々と繰り広げられる爆弾処理班兵の緊迫した日常。
自分たちを見つめる眼は、彼らが守るべき市民なのかテロリストなのか、友好と敵意の境界線のない市街地では、
生も死も、人命救助も殺戮も紙一重。
自分を和ませた少年が人間爆弾にされたとの思いこみで、錯乱する主人公。
心を病み始めた兵を心配した軍医に「爆弾の前に立ってみろ」と挑発し、その通りにした軍医は爆死してしまい、取り乱すメンバー。
エキスパートの彼らにも、人間である以上、目の前にある凄惨な光景をまっとうな精神でやり過ごすことは不可能なのだ。
神経を張りつめた過酷な日々に、馴れても馴れなくても、魂に狂気は忍び寄る。

時に休暇で平和な日々に戻っても、彼らにはもうそのかりそめの世界に安息を感じることができない。
やがてまた、いつ果てるともない極限の神経戦線へと送り込まれ、孤独な英雄は安全地帯に背を向け、一人悲壮に死線へと向かうのだ。

「ハート・ロッカー」アカデミー賞受賞で話題の作品です。
イスラム社会が舞台とあって、世界史好きの1号にこの映画は絶対見たいと言われて、よし!映画館に行こうって気分を久々に後押しされました。
確かにアカデミー賞受賞するだけの良い映画だと思いました。
まるでドキュメンタリーを見せられているような、一切の華美なアクション映画の娯楽性を拒絶した、臨場感ある戦場の映像に、生死の狭間を生きる兵士の張りつめた精神状態とその心的外傷が描き出されていて、痛ましさ感じました。
けれど安全地帯からの欺瞞に満ちた我々の同情など、デッドラインを越えた彼らの隔絶された意識に寄り添うことさえ拒絶されているのかもしれません。

これは見る人の考え方、感じ方によって違うでしょうが、

確かにベトナム化しつつあると言われるイラク、アフガン戦線で命を賭して戦う、プロフェッショナルな兵士達に畏敬の念を否応なしに抱かされます。
1号は「こういう大変な仕事をしてる人もいるんだな」と、痛々しい気持ちを抱いたようですが、、、。
彼が遠い目で放つ「爆弾処理班は必要だ」という台詞。
確かに哀切を感じるし、彼に罪はないのですが、このどうしようもなさって、これぞまさにマッチポンプの英雄の悲哀なのかもしれないです。

なんで爆弾処理が必要か?って、それは彼の仲間の台詞にありましたが、「他の部隊がイスラム狩りをしているから」=米兵がイラク侵攻しているからであって、グローバリズムに壊されたイスラム社会の狂気の抵抗に対抗するには、常軌を逸した爆弾処理班が必要なわけで、、、、
でも、笑えません。日本もグロバーリスムの恩恵を受け続けて来たわけです。
テロリストは米国製の爆弾を使い、TOYO??のトラックに乗っていました。
兵士達はこれ見よがしに飲料水を無駄に乱暴に使い、浴びるように酒を飲み、気休めにDVDを買い(女も買ってるかもしれないと匂わせ)、決して戦場だからといってストイックな生活はしません。当然、命張る緊張の連続の日々なわけですから、彼らには物質的「不足」があってはならないのです。
となると、戦争はあらゆる方面に需要を生み、巨額の国家予算が使われます。
振り返れば20世紀の戦争特需が、1位とこの前まで2位だった経済大国を生み出しだわけです。

だいたいにおいて、イスラム問題はヨーロッパの利権争いから発生してるわけで、、、、
「元々中東問題はイギリスが悪いんだよなあ」と1号。

イスラム教過激派の自爆テロによる被害を繰り返し繰り返し報道されるので、イスラム教は狂信的で排他的だからテロや、PLOのような過激なゲリラを生んでるとか、イメージ的にそう思わされがちですが、、、、
そもそもイスラム教はユダヤ教やキリスト教以上に他宗教に寛容な宗教だったようです。
宗教問題というより、欧米諸国の利権争いによって、住む土地と生活基盤を奪われたパレスチナ人の自暴自棄な抵抗で、そもそも土地をめぐる経済問題だという点を復習しないとなあって。
ガンダム00の感想を書くに当たって、私も学生時代以来久々に中東問題の初心者向けの本を読んだりして思い出してるわけですが、、、、
第一次大戦後、賠償金でドイツを追いつめ、ナチスドイツは民族主義で国の立て直しを図りユダヤ人排斥に走り、イギリスはパレスチナにユダヤ人の建国をちらつかせつつ、アラブ人には独立国を約束し、フランスとは中東分割統治を密約し、挙げ句国力が低下したイギリスは解決できなくなって国連に解決を頼み、国連はパレスチナにユダヤ人の国イスラエルの建国を許可したのですが、、、親の英国より強大になった子供米国はイスラエルを支援するので、強大な軍事力を持つイスラエルは国連の制御を超えて国の安定のため現地人を排斥惨殺し、パレスチナ難民が生まれ、、、、強大な武力を持ってパレスチナ難民を追いつめれば追いつめるほど、彼らはゲリラとなりテロリスト、タリバンになり、死んでアッラーの神の元に行くことを厭わない自棄になった抵抗を続けるわけで、イスラエルも犠牲が出ればやりすぎるほど報復するわけでして、、、、結局、欧米先進国がアラブ社会をぐちゃぐっちゃにしたんだという怒りも生まれるのも当然なんですけど、、、

イスラム側の被害視点がこの映画では描かれていないのが、不満と言えば不満です。
ベトナム戦争を描いた「プラトーン」では、何故ベトコンはソ連から守ってやってるのに米軍に敵意を抱くのかという点も描かれていたのに対し、この映画においては米兵がタリバン兵以外の現地人に恨みを買うような非人道的行為は描かれていません。
なので、どうも米軍の敵は「悪」のタリバンだと、イラク侵攻を肯定したような印象づけだけでいいのかどうか、どうも微妙なところで、すっきりしない部分でした。
命を捨てて信念のためにテロを行うのも、その原因を作った側がテロを命がけで阻止するのも、狂気の沙汰という点では同列じゃないのかなとか。

けれど、一方で、これだけは全面的に共感できる、こういう兵士を描く時、絶対に忘れて欲しくない描写があり、評価したいなって思った点があります。
この映画の兵士が発する数少ない台詞の中で印象深いのは、緊張の連続に絶望的感情を爆発させた黒人兵が、ただ一つの願いとして「男の子が欲しい」と涙ながらに語るところ。
そして、主人公が休暇の間、赤ん坊に向かって、「子供の頃と好きだったものは大人になるとどんどんなくなり、今大切に思うものは一つしか残っていない」と語りかけるところ。
そう、生命の連続を願うこと、自分の遺志(DNA)を継ぐ新たな生命を守りたいと願うこと、それだけは善悪を越えて、生物である人の自然な感情であり、男が命をかけて戦う理由がそこにあるなら、それは非難できない、黙って背中を見送るしかないじゃないかと思えるのです。

逆にいえばこれがガンダム00の不満でもあるんです。
中東問題をエンタメにしちゃいけないよなあって、だから宇宙人との闘いに向かったのはいいんだろうけど。

ちなみにこれだけシリアスな現実を飽くことなく見せてくれる映画なのに、★5にしなかった理由は上記とは無関係で、、、、
実のところインテリ軍医が、ああいう死に方をするだろうと、登場と同時に死亡フラグが立ってるのが読めちゃったからなのでした。展開が見え見えだったのが惜しいところ。
気のせいか安全な後方にいながら、現場の兵士のPTSDを偉そうに語るキャリア組への反感にも思えて、正直体育会的いやあな匂いがしたのが、★×5にしなかった理由です。(「2012」でも頓死したのが、ドクターだったし。)

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