ログハウス

趣味の画像と家族日記。 主に児童向けの映画、書籍、TVの感想や家族の話題を徒然に綴ってます。

続「IN YAON」~あるシンガーソングライターを探して

Posted by ふざけおに on   0 comments   0 trackback

○ミスターグッドバーを探して
シンガーソングライターというのは、偉大だと思う。
自分で曲を作り、自分で歌詞を作り、自分の思いを自分が歌う。
オフコースの曲で特に好きなのは、「思いのままに」
「君は君の歌、歌え。僕はこの思いを調べにのせて♪」
君は君の歌を、僕は僕の歌を歌うがいい。すばらしいことだ。自分の思いを自分の歌に託すのがシンガーソングライターだ。

でも世の中には、君の歌も僕の歌も自他の境なく歌える稀有な人がいる。
歌詞に登場する誰かの「思い」を歌っているのは、現実にいる僕でも君でもない。
薄汚れた現実が入り込む隙もないほど、純粋な作品世界の主人公である「僕」だ。

「白い冬」を歌ってるのは誰だ?・・工藤でも山木でもない・・当の細坪でもない。
愛を失くした孤独な若者だ。
「五色のテープ」を歌ってるのは誰だ?・・・愛する人を涙ながらに見送る少女だ。

歌っている間、表現者である細坪基佳は消えている。
彼は自分をフォーマットして歌の中に登場する人物に自分を書き換えることができる演技者なのだ。
現実の自分を表現しようとしたら、自分以上でも自分以下でもない。
しかし、現実を超越した「自分」を表現できたら、歌という台本を書いた作者以上に作品世界を表現できたら、それはシンガーソングライターの領域を超えて高度な音楽を体現していると思うんだけど。

一方こういう表現を無自覚に続けていたら、「僕」は僕なのか君なのか他の誰かなのか・・・・・・時々わからなくなるのかもしれない。

(稀に若い俳優声優にも憑依型の人がいるらしく、役を強引に自分の個性に合わせる人より、良い演技をするけど消耗もするみたい)
※・・・なんて偉そうに印象批評の真似事してるけど、根拠はそんなにない。また単に私のイメージだけで書いているので、気分を害された方ごめんなさい。こういう見方する人もいるのね、くらいであんまり真に受けないでくださいね(願)。


私がふきのとうの山木康世は山木康世だが、ふきのとうの細坪基佳は細坪基佳ではないのではないかと感じたのは、最初の細坪さんのソロコンサート。細坪さんがやたら熱心に「ミスターグッドバーを探して」とか、タイトル忘れたけど性に奔放な女性の孤独を描いた映画の話を説明してる時です。仮面をかぶってるうちに自分がわからなくなってるのって、ひょっとして・・・・?
その後、細坪さんがご結婚され、「責任ある男性としてのいい歌聴けそう」と素直に祝福してました。で、同時に相手の方が「ふきのとう」を全く知らない方だと雑誌かなんかで読んで、ああ、やっぱりね!そりゃあそうだろうと思ったのも本当です。※1

このあたりで私の記憶は止まってて、すっかり浦島太郎でしたが、、、初めてラストコンサートの動画みて、ちょっとうるっと来ました。
細坪さん、ちゃんと最後まで見事に完璧に「ふきのとう」を演じてるじゃん。そのけなげな姿は、まさしく永久保存版神々しいまでに。
山木さんは、「ありのままの自分を、ぎらぎらしないで、自然体で」というけど、これだけ見事に山木さんの作品世界を演じている細坪さんにとって、じゃあ「ありのままの自然体」って何だろう?・・・なんか切ない気持ちになります。

「ハムレットはシェイクスピア本人ではないし役者本人でもない。役者が演じてる舞台にのみの時限的存在。舞台が終わったら、ハムレットはいない。」
そういうことなのかって。
山木さんはご健在なのかしら。変わってないんだろうなあ。いつかライブ、観に行こう。

○他人という私
当時流行したニューミュージックと言われたアーティストの曲をたくさん聴いたし、コンサートもいくつか見たけど、何故か「ふきのとう」だけはもう一度みたいという気持ちが消えなかったんだよね。30年近く経っても卒業したと認識できなかった。
青春の麻疹とは違う何かがあった。
今思えば、みんな「俺はこう思う」という本人の生の声を歌う中、映画のように俗世を超越した純粋な作品世界を感じさせてくれたから、虚構ながらリアルに迫ってくる普遍的な人の心を感じさせてくれたから、いくつになっても味わいたいと思うのかも。
探し続けた細坪基佳はシンガーソングライターとして、今ある現実の自分を確たる存在感を持って歌ってて、それはそれで悪くない。「DEAR OLD FRIEND」聴いたけど相変わらず歌声は比類なく好きだ。何にせよ、細坪さんが健在なうちにもう一度聴く気になれて良かったと思う。(天野さん、ごめんねorz)
それにスリーハンサムズコンサートにおいて、細坪さんが「自分」でなく「他人」を表現しようとしてることは興味深い。
「赤い糸の伝説」を歌ってたのは、天野さんでも細坪さんでもない。物理的距離が幼い愛を引き裂くと恐れるあどけない少年だった。
細坪さん自身が描く物語の主人公もライブで聴きたい気がする。



+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

追記です。(※1 記憶が前後してました。細坪さんがご結婚されたのは81年ですから、82年のソロコンサートの前ですよね。いずれ私、ご結婚されたのはリアルタイムで知ってました。多分このコンサートの話を聞いて、奥様が細坪さんの職業を知らなかったという記事を思い出したんだと思います。訂正します。すみませんm(__)m
関連記事
スポンサーサイト

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://fuzakeoni.blog3.fc2.com/tb.php/609-d964c013