ログハウス

趣味の画像と家族日記。 主に児童向けの映画、書籍、TVの感想や家族の話題を徒然に綴ってます。

細坪基佳最新アルバム「Live of Nocturne」

Posted by ふざけおに on   0 comments   0 trackback

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先月発売された細坪基佳さんの最新アルバム「Live of Nocturne」は、
2014年に発売されたセルフカヴァーアルバム「夜想曲Ⅱ」の世界を再現した2015年ネーチャーオブイヤーのライブアルバムです。
「夜想曲Ⅱ」に続き、細坪さんの叔父様にあたる楢喜八さんのイラストがユーモラスでどこか哀愁誘うジャケット。ロングジャケットでマイクを持って唄ってる猫が細坪さんを表してるそうです。
私はこのライブをパーシモンホールの客席で見てましたが、本当に圧巻の演奏でしたから、このDVD・CDを手にした時、格調高いクラシカルなステージの趣きに何の遜色なく融合し、覚醒していく繊細かつ重厚なボーカリストを自分が所有してるような、贅沢な気分でした。
夜一人、ワインを片手にあの日の感動を反芻しています。

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細坪さんは音楽評論家富澤一誠さんのラジオ番組~Age Free Music大人の音楽~にゲスト出演した際、妹尾さんのピアノを「歌心を理解している。歌唱を邪魔しない。唄い出すタイミングをきっちり合わせてくれる。」と評してましたが、今改めて見直すと本当に。序奏は曲の予感から本編の歌詞世界へと誘い、間奏は歌唱の情感を艶やかに再現し、後奏は歌唱の余韻を最後の音まで深めてくれて・・・
もちろん都留さんのバイオリンもAyakoさんのチェロも高橋さんのケーナサンポーニャも久保田さんのギターも、どの楽器の音色もそれぞれに美しく味わい深い演奏です。

改めてDVDにしかない妹尾さんと都留さんのソロコーナー。豪華です。
妹尾さんの寅さんのテーマという選曲が心憎いです。余裕ですね~。
次の都留さんの「夜空へ」の哀切深い旋律が心の染みいります。何故か理由なく涙がこみ上げてくる曲で好きです。
何度か再生繰り返し、聞き入ってしまいました。

講談師による「昭和残侠伝」、こちらもハイクオリティ。内緒ですが主題歌に最初に手拍子入れたのは私です(全然内緒でない!)

音楽性とエンタメ性、この両輪が細坪さんのライブバリエーションを豊かにし、聴衆を魅了し続けてることに気づかされます。
また人生観や世界観、理念といったテーマ性も私達の今を生きる指針になっています。

ここまでは一ファンの感想に過ぎませんが・・・・

富澤一誠さんが新聞のコラムで、細坪さんの最近の表現スタイルを論じておられました。評論家の視点で現在の細坪さんの表現スタイルが語られるのは、ファンとしてうれしい限り。
※要約すると
『細坪には長い歳月をかけてたどり着いたオンリーワンの世界がある。
50代を迎え、久保田との通常ライブ以外にも、「Live of Nocturne」という新しいライブにチャレンジ。細坪はハンドマイクを持ってシンガーに徹し、ツルノリヒロ(ヴィオリン)、妹尾武(ピアノ)、Ayako(チェロ)が支える編成。こういうシンプルな編成で問われるのは個人のスキルと何よりコラボレーションの大切さだ。ステージのフロントに立つ者、特にシンガーソングライターの場合、自作自演の一枚看板である故に肩に力が入る。細坪は自作自演の主人公を一度外し、歌手に徹し、ノクターンにチャレンジ、新地平を切り開いた。
「自分の描いた風景に主人公を置き、それを俯瞰で見るようにして唄うと違う表現が出来る。歌は変わらないが、それを自分がどう捉えるかで変わって行く。昔の歌が歌えないのは昔の歌を昔のように自分が捉えていたから」
細坪はシンガー・ソングライターから演出家の目を持つエンターティナーに進化した。』


この記事の中で富澤さんは、自分の強烈な方向性を前面に押し出すのがシンガーソングライターなのだが、ノクターンでは器楽アンサンブルにアレンジを委ね、そのクラシカルな格調高い演奏に合わせハンドマイクで歌手に徹して協奏する、細坪さんのコラボレーションスキルを評価していると思われます。

また、「若い頃は歌詞の主人公のつもりで唄っていたが、歌詞の全景を俯瞰するイメージで表現することで実年齢との心理的ギャップをなくし、歌の主人公とは違う歌唱表現ができるようになった」という細坪さんのラジオでの談話から、自作自演のシンガーソングライターから演出家の目を持ったエンターティナーに進化したと論じています。

私なりにこれを読み砕くと・・・
細坪さんはかつて歌詞の主人公になりきって、その心情をリアルに感じながら唄っていたのだと思います。
だんだん年を重ねていく中で、幼い恋心、初々しい憧れとか、青い感傷とか、実年齢と乖離した主人公を演じることに限界を感じ、今はそう感じている若い架空のキャストをイメージの中に配置し、全景を遠くから優しく見てるイメージで唄ってるということかと。
主人公を演じる役者から、役者を世代交替し自分は作品全体を演出する映画監督になった感じでしょうか。
「幼いあの歌」も「ひたむきな心で作った歌」も、違う表現で試みた、セルフカヴァーアルバム「夜想曲」。
「高き空遠き夢」、傷つき疲れ果てても飛び続ける弱い心そのものを本人が唄っていたのが、、今は切なさの中にも、その者のその時の心情を愛おしむような温かい視線を感じる歌唱に、新たな感動を覚えるのでした。

○「風笛」
高橋さんの笛が印象的。
これは私の個人的感じ方で、蛇足ですが・・・
細坪さんは70年代のシンガーソングライターブームの中では、特殊な存在だったと思われます。
自作自演のシンガーソングライターにとって、歌詞世界は自分そのものなので、多分ですが、わざわざ歌詞の人物を「主人公だ」と「思い込む」必要がないはず。
細坪さんの場合、若い頃自分の作った歌も他人の作った歌も、自他の境なく同じように歌詞世界の主人公として唄って来たので、今になってその頃のような歌唱表現を続けて行くことは心理的に抵抗あるのだと思えます。
これがNSPの中村さんの場合(キャリアが違いますが、喩えとしてです)、天野さんの作った曲は他人だから、幼い歌詞の「スケッチ」や「かげふみ」を唄うのに、自分が主人公だとか、主人公でなく全体俯瞰するとか考えないだろうし、中村さん自身が作った「仲直り」にしても、照れはあっても自分だからイメージングアングルを変えないと歌えないというほどの抵抗はないでしょう。
細坪さんは、昔の歌を唄って欲しいという聴衆の期待に応えるのに、過去のヒット曲を歌い続ける他の歌手以上に心理的負荷が大きいだろうと想像するのですが、その抵抗を前向きに打破していく姿に敬意を抱かずにはいられません。
もちろん、これも私の思い込みで見当違いかもしれません・・・あしからず。

細坪さんが「風笛」を唄う時に特別な思いがこみ上げて、言葉を大事に唄っていると最近ツボッチに書かれてましたが、真に伝わってくる熱いものがあります。
でも私は言葉をつい深読みしてしまって「ひたむきな心で作った歌はもう誰にも消せはしない」と聞くと、なんか青い時代の歌を唄うのに自分を必死に鼓舞してる感じが切なくて、ふきのとうを好きだった私はどうそれを受け止めていいかまだ分からないのです。申し訳無いような、行き場無いような・・・
「萎れた花を捨てて」も同じ感覚あって、「風笛」も「萎れた花」も作詞は細坪さんじゃないって頭でわかっていても、だからこそ細坪さんがここまでこの曲にシンクロする理由を考えると、痛い感じもあって・・・・。
でも会場みんなで声を合わせて唄ってるうちに、共に唄い熱い思いを共有する喜びが勝って、やはり音楽は言語を超越して広がっていくものだと感じます。要は私みたいに考え過ぎないで、もっと無心に音楽を楽しむことが肝要なのかもしれません。

『本当の自分らしさを探し続けて様々なスタイルを試して来たが、一つの方向(=強烈な個性)に固まるのが「自分」ではなく、「自分らしさ」の可能性を広げて行くのが「自分」だ。』
今年、ツアー初日、細坪さんが語られたtsubo's stayle。その時々のシーンに合わせ柔軟に進化していく音楽スタイル、オンリーワンの道を進む細坪さんの音楽をこれからも追い続けていこうと思います。


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~Tsubo's styleに寄せて~

しらとりは 哀しからずや 空のあお 海のあをにも 染まずただよふ

空の青にも、海の碧にも染まらぬ白鳥が哀しいというなら、
もし白鳥が四季折々に色を変える景色に合わせて
体色を自在に変える鳥だったら・・・、
それもまた哀しいのかもしれない。

どんな色にも染まる鳥はいつしか思う。
自分の本当の色は何だったろうと。
オリジナルを模索する。
本来の自分の色、自然な姿を。

思えば青に染まらぬあの哀しい不変の白鳥さえも、
絵はがきに埋め込まれた彼の一瞬の擬態だったのかもしれない。
彼は本当は鳥でさえなかったのかもしれない。
鳥に擬態した七色に変化する蜥蜴だったのかもしれない・・・


長い時を経て、やがて彼はオリジナルに帰着する
tsubo's styleは単一色ではなく、
あらゆる出会いを自分の色に取り込んで
進化する総天然色だったのだ。


七色蜥蜴はそのステージごとに色を変え姿を変え、
鑑賞者の目を楽しませる。
時に孤高の王様のように、
時に笑いで人を和ます道化のように。

七色の昇竜
TowardsRainbow

70の道にあっても彼は唄い続けるのだろう。
初めての恋を、若き日の憧れを。少年期のときめきを。
幼い頃見た七色の夢にのせて。


細坪様、64回目のお誕生日おめでとうございます。
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